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2018年のベスト

by realfinelove

ー電子書籍と文庫本に関する考察

高校生のころ電車通学していた僕は、文庫本を携帯して待ち時間を過ごしていた。当時は司馬遼太郎や吉川英治の長編歴史小説を愛読していた。下校時には、駅前の本屋に立ち寄り目的もなく面白そうな小説を探すのが楽しみであった。振り返ると、これまでの人生の中で1番本を読んでいた頃かもしれない。大学生になり、他の遊びに気を取られ、就職してしばらくは飯を食っていくための仕事の時間が優先され、文庫本を読む時間は減っていった。

2007年、山梨の西のはずれの小さな街で暮らし始めた。徒歩でいける近所にお気に入りの本屋があった。休みの日には散歩がてら本屋に出向き、カーグラフィックの雑誌を立ち読みし、気になった文庫本を適当に購入するのが至福の時間であった。新刊や話題作のディスプレイを眺めることも、好きな作家の古い本を端から探すことも楽しかった。

・・・しかし時代の流れは確実に本屋と文庫本を取り囲む環境を悪化させていった。インターネットの普及で、本屋では見つからない本を簡単に検索でき、注文できるようになった。スマートフォンなるものが開発され、本よりも多くの情報が簡単に手の中で閲覧できるようになった。

2013年の春、気がついたらお気に入りの本屋に閉店のお知らせがあった。しばらく悲しみのあまり途方にくれていた。お気に入りの本屋のない人生なんて、つまらないものだ。

2014年1月、皆が使っていないようなスマートフォンを購入することにした。通話には普通のケータイが最も実用的と考えている僕は、携帯会社に高い金を払うことに抵抗を感じていたこともあり、データ通信専用に当時まだ一般的でなかったSIMフリーの端末を選択した。今でも愛用しているこの端末は、文庫本に近いサイズで、電子書籍を使い始めるまでそれほど時間はかからなかった。初めて電子書籍に触れて感じたことは、文字も拡大できて読みやすいし、色々な本を検索してどこでも購入できるのでとても便利である。好きな阿佐田哲也や伊集院 静の小説やエッセイなどを数冊購入した。しかし、しばらくして気がついたことは、読了したのは「なぎさホテル」だけで、購入しっぱなしのものがほとんどだった。文庫本も購入後読まずに寝ているものが沢山あるのだが、電子書籍はなおさらその傾向が強い。なにしろ、電子データとして保存されたものは目につかないので購入したことを忘れてしまっているのだ。それから、スマートフォンには、SNSやらゲームやら読書に集中できない要素が満載だ。その点、文庫本はいい。そこに本があり、開いて読むだけなのだ。

2016年12月30日、電子書籍専用端末Kindle paperwhiteを購入した。買うつもりはなかった。

年末の特売をやっていたので、セールに飛びつくおばちゃんの心境でつい購入ボタンをクリックしてしまったのだ。すぐに新年の特売で池波正太郎の鬼平犯科帳の全24巻セット発見し、迷わず購入した。その値段なんと3,999円。安い。思わぬ発見と池波の代表作・鬼平犯科帳を丸々手に入れた満足感に酔いしれた。電子書籍専用端末は、スマートフォンのように余計なアプリがないので読むだけが目的のシンプルなところが良い。これならいけそうだ、と感じた。・・・だが気がつくと、Kindleでは月に一冊だけの無料サービスで、本宮ひろ志の「俺の空」しか読んでいなかった。2年たった今でも肝心の鬼平犯科帳は一巻も読了していないのだ。冷静に考えれば、24巻丸ごと手元にあっても一巻ずつしか読めない。やはり文庫本のように、上下巻を一冊づつ読み進めていくのが性に合っている。

電子書籍とつきあい始めて数年が経過し、今感じていることは、僕には小説やエッセイを読むには文庫本がしっくりくる。それは、思春期の読書のスタイルがベースにあるのは間違いないが、なにより一冊に集中できる文庫本のシンプルさがいいのだ。良い小説は本棚に並べておいて、いつか子供たちに勧めることもできる。スマートフォンは便利だが情報が氾濫しており、気が散ってしまう。常に電池切れを気にしないといけない。ただ、電子書籍の優れたところもある。購入後たまってしまいがちな車関係の雑誌などを電子書籍で購入し、気が向いたときに目を通すのにはよい。それから時に気になるグラビアアイドルの写真を見たいと思う。そんなときにも電子書籍が良い。いい年になったので、高校生の時のように、グラビア写真集を本棚に並べておくことはできないのだ。

今年、山本周五郎の没後50年になるらしい。ラジオのニュースで、77年ぶりに未発表原稿がみつかり文庫で発表されると聞いた。それから間もなくふと立ち寄った目黒駅の本屋で目にした文庫本の「死處」、新しい出会いを直感して迷わず購入した。これまで縁がなかった周五郎の小説を手に取って読んだ。8つの短編だが、どれも人間の生き様を描いた味わい深い作品で余韻が残った。年末になり、代表作「樅ノ木は残った」(上巻)を読み始めている。今年一番の出来事は、山本周五郎の小説との邂逅だったと確信している。

年末、月に2回の出張で利用する東京の通勤電車を見渡すと、スマートフォンを眺めている人が大半で、文庫本を手にする人は圧倒的に少ない。スマートフォンの登場は、世の中の読書の機会を奪っているように感じている。かくいう僕もSNSやゲームに気を取られてしまっている時間が増えた。来年は、電車のなかでスマートフォンを眺めることよりも文庫本を読む時間が多くなることを目標にしたい。しばらく、周五郎の小説を読んで、息抜きにKindle の鬼平犯科帳を読み進めるのだ。

ー歴史を目撃した話

・5月26日、街のサッカー選手たちと上野監督(小瀬)

 今シーズン、街のサッカーチームはスタートダッシュに失敗し、4月末に監督が交代するという最悪の事態にみまわれた。この緊急事態にはるばる山口から単身やってきた上野監督は「全員攻撃全員守備」を合い言葉にチームを活性化させた。就任後、1分3連勝で迎えたホームの一戦。その日、選手たちは首位を走る大分を相手に開始わずか15分で4点を奪い、一気に点を獲ったJリーグ記録を易々と塗り替えたのだ。

https://www.jleague.jp/news/article/12182/ 

現地小瀬のサポーターは、誰もが日本サッカー史上の最初の体験者として、その新鮮さに高揚し、昇格を確信した。・・・だが現実はそんなに甘くなかった。かつて2012年に優勝した時よりも、J2リーグははるかに底上げされていることを痛感したシーズンだった。それでもこの歴史的な一戦を確かに現地で見届けた。来シーズンも厳しい闘いが予想されるが、どんな結果が待っていようとも、何事もなかったかのように小瀬のバックスタンドに向かうのだ。また新しい歴史を見届けるために。

 

・9月5日、小瀬、ルヴァンカップ 中山 陸(中央線内)

 その試合を、電波が途切れ途切れとなる出張帰りの中央線特急のなかで見た。J1クラブ相手に、自らゴールを決め、素晴らしいスルーパスのアシストも決めた。その輝きを確かに見届けた。クラブで活躍し、いつか世界に羽ばたく選手であることを確信した。

・9月28日、ナゴヤドーム 岩瀬投手(スポーツニュース)

 知多半島の先っぽの小さな港町で生まれ、幼少期を過ごした。物心ついた頃に、親戚の叔父に今はなきナゴヤ球場に連れていかれ小松辰雄投手や谷沢健一野手の活躍を見て以来、どこで生活していてもドラゴンズのことを気にかけている。長い歴史のなかでドラゴンズは今、低迷期に入っている。史上初めて6年間連続Bクラスに沈んでいるのだ。そんなファンの傷心を癒やしてくれる凄い記録が達成された。黄金期を支えた岩瀬投手が前人未踏の1000試合登板を果たしたのだ。もうこの記録を破る選手はでないだろう。岩瀬投手が引退し、一つの時代が終わった。これから、新生ドラゴンズの浮上を期待しないで見守っている。

http://npb.jp/bis/history/ltp_g.html

 かれこれ25年、朝飯をとるかの如く、馬券を買い続けている。儲けようと考えていたらここまで続かないだろう。たぶん、競走馬とその関係者が紡ぎ出す筋書きのないドラマを、小遣いをはたいて追いかけているのだ。今年、一頭のアイドル登場に心を奪われた。アーモンドのようなつぶらな瞳を持つ、3歳の牝馬だ。彼女は史上4頭しか達成していない三冠牝馬を易々と獲得し、実力馬が集結する大レースで、2分20秒6という世界レコードでぶっちぎった。それだけの激走後に、つぶらな瞳を輝かせながら平然と歩いている姿にもう一度心を奪われた。

番外編  4月7日、サトミキにあった話(小瀬)   

 その日、いつものように通っているスタジアムのバックスタンド入り口に向かった。階段を上ると、はくばくのユニを着たかわいい子が立ってこっちを見ている。誰だろう?とスタンドに向かおうと通りかかると、笑顔でハイタッチのお出迎え。予想もしていなかったのでドキドキする間もなかった。・・・普通アイドルは人目につくメインスタンド側にいるはずだから。それからサトミキのことを色々と調べた。グラビアも見た。NHKのW杯番組でキャスターを務め、あまり評判が良くなかったようだが、そんなことは関係ない。ステキな笑顔。思いだしてからドキドキした。たぶん、電子書籍で写真集を買ってしまうだろう。

ー2018年のマイベスト

ベストオブ2018というと、どうしても今年購入した愛聴盤を挙げてしまうのであった。

https://realfinelove.goat.me/6FKeS0lZ

ー終わりに

筆無精の私ですが、このステキな企画に参加することで、1年を振り返って文章にしようという意欲がでることに気がついたのです。感謝。2019年も皆様にとって幸多い一年でありますように。

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